民法改正後、賃貸の設備故障で賃料を減額・まけろと言われた話
本日、弊社管理物件ではありませんが、家主様から『設備の故障時の対応』についてご相談を受けました。
家主様から『借主から契約書にも書いてあるけど、設備使えなかった分家賃を負けろ』と言われた…どうしたら良い?と相談をうけました。
民法改正後、設備等の不具合が発生した場合、当然に賃料が減額されるとなりました。
知らないで急にそんな事言われるとビックリですね。
家主様からすると民法の改正で大きく変わったポイントの1つですので、知っておきましょう。
▼2020年民法改正後『賃貸借物の一部滅失による賃料減額』を簡単に
超簡単に言うと設備(エアコンなど)が故障した際に賃料を当然減額しなければならなくなりました。
これまでは、賃借人が賃料の減額を請求できるだったものが、割合に応じて減額されると変更されました。
何か故障が発生した場合、免責期間はあるものの工事に時間がかかれば、
言われなくても減額してあげる必要が出てきました。
そして、今回の民法改正により多くの方が賃料減額について知る機会となりました。
今後の入居者・賃借人様から対応が無ければ『どうなっているの!?』
とお怒りの電話がくる可能性は高くなってます。
▼『設備が使えなかった分、家賃まけろ』にはどのぐらい対応するのか!?
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会がガイドラインを出しています。
『貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン』
ちょっとググればすぐ出てきます。
これを参考にしてお話して頂くのがスムーズかと思います。
日管協の賃料減額ガイドラインから
貸室・設備に不具合が発生
↓
状況 | 賃料減額割合 | 免責日数 |
電気が使えない | 40% | 2日 |
ガスが使えない | 10% | 3日 |
水が使えない | 30% | 2日 |
↓いずれにも該当しない
状況 | 賃料減額割合 | 免責日数 |
トイレが使えない | 20% | 1日 |
風呂が使えない | 10% | 3日 |
エアコンが作動しない | 5,000円(1ヵ月あたり) | 3日 |
テレビ等通信機器が使えない | 10% | 3日 |
雨漏りによる利用制限 | 5%~50% | 7日 |
減額の算出方法が、日割り計算で行うとされています。
計算の仕方は、
月額賃料×減額割合×(使えなかった期間×免責日数)/1ヵ月(30日・31日)
実際に例に落とし込んで計算してみましょう。
<計算例 風呂が6日間使えなかった場合・月額賃料10万円>
100,000円×10%×(6日-3日)/30日=1,000円 1日約333円
家賃10万円で6日間風呂が使えなかった場合1000円減額しましょう。
と言うガイドラインになっています。
▼実務に落とし込んで考えてみると…
先の例で家賃10万円の物件で、
お風呂が故障し6日間使用出来なかった場合に減額1,000円では、
入居者様はまず納得しません。。。
皆様、逆の立場でも無理じゃないでしょうか?
6日間銭湯に入ったら1,000円では絶対足りません。
電話でガイドラインに乗っ取って1,000円返却しますねなんて言えば、
怒らせてトラブルを拡大するか、早期退去に繋がる可能性が高いです。
ですので、自主管理のオーナー様は少し色を付けてと言いますか、
せめて銭湯代実費に近い金額に菓子折りでも持って「ご迷惑をお掛けしました」
と言いに行くぐらいの対応がオススメです。
最後に
あくまでガイドラインは目安を示しているものですが、
大きな指標があるのは有難い事です。
聞いた話で過去には、
エアコンが壊れて子供に汗疹が出来たと慰謝料を請求された…
風呂が故障し勝手にホテルに宿泊し費用を請求された…
修繕が完了するまでの分の家賃は払わない…
など半ば強引な費用請求をされるケースもあったと聞きます。
オーナー様からすると今回請求が無くても当然減額をする事を、
おっくうに思う方も居られると思いますが、
この改正・ガイドラインが助けてくれるケースもあるはずです。