国土交通省ガイドライン(案)事故物件の告知3年、病死は対象外
国土交通省が事故物件ガイドラインの指針案を発表した。
現在、事故物件とそうでない物件の線引きは曖昧で、明確なルールがありません。
少し前から有識者検討会を開き、事故物件のガイドライン(指針)を作成するという話はありました。
その指針案が20日に発表されたとのyahooニュースが出ていました。
少し調べたら「心理的瑕疵の取り扱いに関するガイドライン(案)」を発見しましたのでそのお話しです。
オーナー様にとっても借主様にとっても気になる話ではないでしょうか。
▼賃貸の契約者に告知すべき対象をまとめた初めての指針案
今まで曖昧だった事故物件・心理的瑕疵の告知にガイドラインを作成中との事。
今回発表された指針案をyahooニュースでは次のようにまとめてました。
①病気や老衰、転倒事故による死亡は対象外。
②殺人や自殺、火災による死亡が告知すべき。
③賃貸は発生から3年経過すれば告知不要。
正直、不動産業者としては、
ある程度明確な基準があるのはトラブル回避の為にも大変助かります。
yahooニュースのコメントでも色々な意見が出ていました!
まぁ思う所がある人も出てくるとは思いますが、具体的に見て行きましょう!
①病気や老衰、転倒事故による死亡は対象外
ニュースでは転落事故との事でしたが、実際のガイドライン(案)では、
自然死又は日常生活での不慮の死との扱いです。
過去の判例においても、
自然死について心理的瑕疵への該当を否定するものがある事から、
原則として告げる必要はないものとするそうです。
個人的にも、病気や老衰に関しては告知は不要だと思います。
反対派の人もいるとは思いますが、人は当然亡くなりますし、
発見が遅れ腐敗したなどが無ければ、心理的瑕疵とは言えないかなと思います。
発見が遅れ腐敗等が無ければですよ!
ガイドライン(案)にも長期間にわたって人知れず放置され、
室内外に臭気・害虫等が発生し、特殊清掃等が行われた場合には
原則告知が必要としていました。
例えば、おじいちゃんがご自宅で家族に看取られて亡くなった場合は
事故物件じゃない気がしませんか?
現在、高齢化も進み在宅医療、在宅ホスピスという選択も増えています。
部屋・家で亡くなる事は普通な事で、これからもどんどん増えて行きます。
今回のガイドラインで、病死や老衰は告知をしなくて良いと明記する事で、
今まで高齢者に部屋を貸して、部屋で亡くなられたら事故物件になり、
価値が下がる事を懸念して部屋を貸さなかった、
貸主様・オーナー様がお部屋を貸してくれるようになるかもしれません。
実際に今の賃貸市場は高齢者には優しくありません。
不動産オーナーもリスクの高い所には貸したくありませんので、
借りれる物件が本当に少ないのが現状です。
告知義務の線引きをしっかりする事で、
高齢者に部屋を貸すハードルを少し下げるきっかけになるかもしれません。
②自殺や殺人、火災による死亡は告知
これは、告知するべきですよね。
ガイドライン(案)では他殺、自死、
事故死その他原因が明らかでない死亡事故は告知との事。
ただ、事故死に相当するものでも、
階段からの転落や入浴中の転倒事故、飲食中の誤嚥など、
日常生活の中で生じた不慮の事故による死については、
自然死同様に原則告知不要とするそうです。
③賃貸は発生から3年経過で告知不要
ここが一番注目のポイントですね。
yahooのコメントでは
「3年だなんて短すぎ!国は何処からお金を貰ったんですか?」
みたいなコメントもありました。
はい、わかります。(笑)
私も自殺や殺人があった部屋の告知が3年は短いように思います。
ただ、この3年の根拠は過去の判例です。
私が過去に調べた時には、自殺なのか他殺なのか、
経過年数や利用目的、規模、地元住民の周知などで、
告知期間を司法が判断していました。
賃貸物件で自殺のあった際には2~3年程度、
売却物件での自殺の場合には5~6年程度の判例が出ておりました。
ただ、他殺の場合にはもう少し告知期間が長かったように記憶しています。
ガイドライン(案)では、その事件性・周知性・社会に与えた影響に
より変化するものと考えられるが、
と前置いたうえで事案発生から概ね3年間は
借主に告知するものとするとしていました。
売買契約については、
現時点では参照すべき判例や取引実務等が十分に
蓄積されていないので調査を通じて判明した範囲で
買主に告げるものとするとしていました。
▼最後に
基本的に過去の判例等からガイドラインが作成されています。
立場毎に思う所はあると思いますが、
この先の流れに注目していきましょう!